幻の作品「怪獣王子」(渡辺宙明版)の主題歌・BGMや「太陽戦隊サンバルカン」用の未発表曲「美佐の歌」ほかを収録したCD「渡辺宙明音楽選3 未発表作品集」が完成!
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■CD番号 3SCD-0072
■発売元 スリーシェルズ
■CDタイトル 渡辺宙明音楽選3 「怪獣王子、赤い花/田中由美子」「美佐の歌、白バラ仮面/根本由美」
■キャッチコピー「ついに怪獣王子が音源化!新発見楽曲を含む未発表作品集」
■作曲:渡辺宙明 作詞(補):田野倉健之
■編曲:吉原一憲(怪獣王子主題歌、美佐の歌、美剣士白バラ仮面、赤い花)
■歌:田中由美子、根本由美、成松こだま
■解説:怪獣王子についての宙明先生へのインタビューより(田野倉健之)、プロデューサーノート(西耕一)、歌詞
■税込 3056円
■収録楽曲
01.怪獣王子 主題歌
作詩:渡辺宙明(補:田野倉健之)編曲:吉原一憲
歌:田中由美子 タケル・ネッシーの声:成松こだま
02.テーマ
03.予告篇の①のI
04.予告篇の①のII(予告篇の⑦)乱斗
05.予告編の①のIII
06.予告篇の②(+③)南方の島の静かな不気味さ
07.予告篇の④対面
08.予告篇の⑤恐竜(怪獣)
09.予告篇の⑨ 夜の護衛艦・夕景
10.予告篇の⑩I テラノドン来襲
11.第1回の⑪ I 乱斗(予告編の⑩II、予告篇の⑭)
12.第1回の⑭A End
13.第1回の①のI
14.第1回の①のII(15秒)
15.第1回の①のIII(30秒)
16.第1回の②
17.第1回の②A+第1回の③
18.第1回の④(第1回の⑧II)島への上陸・ミステリー
19.第1回の⑤
20.第1回の⑥ ジャングルへ忍び込む
21.第1回の⑦ 少年と会う 追っかけ
22.第1回の⑧ I 恐竜に追われている男
23.第1回の⑨ I
24.第1回の⑩
25.第1回の⑪ II 予告篇用ラスト
26.オーディション用 GO GO LATIN
27.怪獣王子 主題歌 ガイドメロ
28.怪獣王子 主題歌 カラオケ
29.美佐の歌
作詩:田野倉健之 編曲:吉原一憲 歌:根本由美
30.美剣士白バラ仮面
作詩:田野倉健之 編曲:吉原一憲 歌:根本由美
31.美佐の歌ガイドメロ
32.美佐の歌カラオケ
33.美剣士白バラ仮面ガイドメロ
34.美剣士白バラ仮面カラオケ
35.赤い花
作詩:田野倉健之 編曲:吉原一憲 歌:田中由美子
36.赤い花 演歌版
DTM・編集・ミキシング:吉原一憲
歌録音:2023年8月25日
演奏:35,36のみオーケストラ・トリプティーク
■渡辺宙明版『怪獣王子』の音楽について
『怪獣王子』は、1967年10月2日から1968年3月25日までフジテレビ系で毎週月曜19:30 - 20:00に全26話が放送された特撮作品である。『ゴジラ』とは一味違った「恐竜」がでるTVシリーズを、ハリウッドや海外輸出作品として作ろうと、巨額の予算が投じられ、会社や撮影スタジオが作られたほどだったが、相次ぐトラブルで打ち切りとなった。音楽担当は、渡辺宙明を予定として台本や設定資料も作られていたが、いつの間にか違う作曲家になった。当時、資料を受け取った渡辺宙明は、予告篇、第1回の音楽の作曲を終わらせており、主題歌については、作詞が仕上がってこないので、自ら作詞をして主題歌のプロトタイプを作っていた。しかし、相次ぐプロダクション側のトラブルのため、謝礼も受け取らず音楽を降板することになったという。残された楽譜は、そのまま手つかずのまま放置されていたが、この度、DTMの打ち込みオーケストラでBGMを再現した。渡辺宙明作詞作曲による主題歌の歌唱は、『仮面ライダースーパー1』でヒロイン・草波ハルミ役や『電子戦隊デンジマン』第33話「吸血楽器レッスン」のヨーコ役で知られる田中由美子が担当した。
BGMは25曲ほどの楽譜が残されており、ジャズやラテンのアダルトなサウンド、シンフォニックで壮大な要素、尺八の使用や、テープの遅延再生を行う前衛的な技法など、渡辺宙明の才能が存分に発揮された傑作となっている。
■『美佐の歌』『白バラ仮面』について
『太陽戦隊サンバルカン』のヒロインの嵐山美佐のために作曲されたと思われる譜面は、宙明先生のサンバルカン関係の楽譜の中から発見された。これまで放送でも使われず、レコードにもCDにも録音されたことがなかった曲である。とはいえ『怪獣王子』の歌詞を作って仮の主題歌を準備するほどの宙明先生。挿入歌が必要になるかもしれないと、美佐のために先回りして曲を作っていたのだろうと推察した。同じく「白バラ仮面」も当時の楽譜資料から発見したもの。2曲とも作詞はされていなかったため、渡辺宙明氏のアシスタントであった田野倉健之氏が、新たに作詞をして嵐山美佐こと、根本由美さんが歌ってくれた。
根本由美は「宙明先生が作曲してくださった曲があるならば、自分は歌は得意ではないけれども、挑戦してみたい」と決意を語られ、40年以上眠ってきた曲を、実際に歌唱を想定された御本人に歌ってほしいと、ファンのためにもやらなければ、と率直に思った。『怪獣王子』主題歌と同じく、吉原一憲氏によって80年代アイドルを意識しつつも令和サウンドを聞かせる巧みなアレンジによって『美佐の歌』『美剣士 白バラ仮面』ができあがった。
●プロデューサーノート(西耕一)より
今回のCDは、渡辺宙明先生と生前約束していた、未発表作品のCD化実現となった。宙明先生との会話の中で『怪獣王子』を含め、自分にはまだ音になっていない楽譜がいくつかある。私は積極的にやって欲しいとは言わないが、誰かがやりたいと言うのであれば、それを止めません。そのような遠回しな言い方だったが、今思えばの照れ隠しもあったのかもしれない。
怪獣王子について
『怪獣王子』のスコアについては、2015年の卒寿コンサートのために、譜面整理を行った際に、現物を確認しており、いつか機会があればと御許可を頂いていた。コロナ禍に改めて、宙明先生の譜面整理を行った際に、以前には見つからなかった譜面も発見され、今ではパソコンや音楽ソフトも目まぐるしい進化を経て、DTMの打ち込みオーケストラで音にしてみたい、と考え、映画『怪猫狂騒曲』で宙明先生の歌をアレンジした吉原一憲氏にお願いした。主題歌の歌唱は、『電子戦隊デンジマン』にも出演していた女優の田中由美子さんが、担当してくださった。
『怪獣王子』のBGMは、ジャズ、ラテン、シンフォニックサウンド、尺八やテープのスピードを遅延させて音を変化させる技法も用いられていた。このような実験的で鮮烈な仕事が眠ったままだったのだ。嬉しい発見は「主題歌」だった。ここには、「渡辺宙明作詞」の第1番の歌詞が掲載されていたのだった。第2番以降は、断片的に候補となる歌詞が記載されたのみで、楽譜はメロディー譜のみ。主題歌の伴奏オーケストラの楽譜は存在しなかったため、中身のBGMを参考にしつつ、吉原一憲氏によってアレンジして頂いて音になった。56年もの歳月を眠ってきたスコアが生き返った、否、新たな生命を得たのだ。
赤い花について
前述の吉原一憲氏が、アレンジを担当した『赤い花』については、作詞の田野倉健之氏が、一文字だけ歌詞を変更したい、と、常日頃、心残りを語っており、今回、映画『怪猫狂騒曲』にも出演された田中由美子さんが、改訂した歌詞での歌唱を引き受けてくださり、ボーナストラックとして収録させて頂いた。テイクとしては2テイクしか録音していないのだが、通常の歌い方と、演歌風の2種類を歌ってくださり、どちらも捨てがたく、2種類の歌唱を収録した。長年活躍する女優の円熟の「芸」を堪能させて頂いた。
今回もCDの制作中は、宙明先生のお言葉を思い出しながら作っていた。「私の作品は、私が100歳になるまで、毎年新しいCDが1枚出ていれば嬉しい。それは、旧作の再レコーディングや発掘サントラでもいいので、いつまでも私の作品が聞かれることがなによりの望みです」。改めて、このCDのために御協力頂いた皆様に深く御礼致します。
プロフィール
■渡辺宙明(わたなべちゅうめい)
1925年(大正14年)8月19日愛知県名古屋市で生まれる。旧制八高理科を卒業後、東京大学文学部心理学科に学ぶ。卒業論文は「旋律的音程の力動性に関する実験心理学的研究」。作曲を團伊玖磨と諸井三郎に、ジャズ理論を渡辺貞夫に師事。作曲家デビューはCBC(中部日本放送)のラジオドラマ「アトムボーイ」(1953年)からである。映画音楽作曲家としては、新東宝の映画「人形佐七捕物帖 妖艶六死美人」(1956年)や「鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)」(1957年)などを皮切りとして、現在までに200作を超える映画に作曲した。 1972年に手がけた「人造人間キカイダー」と「マジンガーZ」がきっかけとなり、特撮やアニメの仕事も増え、世界的な人気を博す。東映スーパー戦隊もののスタートとなった「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975年)から続くシリーズでは、BGMだけでなく、挿入歌の作曲者としてもこのシリーズを支え続けている。また金字塔を打ち立てた「宇宙刑事ギャバン」(1982年)から続くメタルヒーローシリーズは、最近も宇宙刑事Next Generation(2014年)で主題歌、BGMを作曲して高く評価を受けた。CM音楽やゲーム音楽も手がけており、戦後のラジオドラマからスタートして、メデイアの変遷とともに作曲を続けている作曲家である。2012年には長年の功績を東京アニメアワード第8回功労賞。2014年11月にはジャスラック永年正会員を顕彰された。2019年文化庁映画賞受賞(映画功労部門)。卒寿を迎えてからも日本最高齢の現役作曲家として活躍しており、2021年には『機界戦隊ゼンカイジャー』で『ゴーグルファイブ』から39年ぶりに戦隊テレビシリーズの挿入歌、BGMを担当するなど、最晩年まで活動した。95、96歳で「ネズラ1964」「虫コナーズ」「怪猫狂騒曲」なども作曲。ニコニコ動画のスリーシェルズ放送局にてレギュラー番組「渡辺宙明先生語る!」を配信していた。2022年6月23日、老衰による心不全のため、東京都渋谷区の病院で逝去。
■吉原一憲(よしはらかずのり)
複数のコンテンストでグランプリを受賞しCM等の音楽制作依頼を受けるようになる。
敬愛する伊福部昭の音楽を若い世代に広めるべく「シンフォニア・タプカーラ」「ピアノと管弦楽の為のリトミカ・オスティナータ」等の代表曲をクラブ・ミュージックへアレンジを試み、好評を得たことをきっかけに伊福部昭生誕99年白寿コンサートにて「リトミカ・オスティナータによる《讃》」「アメノウズメの舞」の編曲を担当し今井重幸より手解きを受けた。
横川寛人監督の映画『怪猫狂騒曲』で、渡辺宙明作曲楽曲のアレンジと、BGMの作曲を担当した。