別宮貞夫 管楽作品コレクション



2007年12月27日発売

定価:2,880円(税込) 3SCD-0005

指揮:福田滋

リベラ・ウィンド・シンフォニー ①~⑤

シリウス木管五重奏団 ⑥~⑨

フルート:江尻和華子 ⑩

アルト・サックス:斎藤茂 ⑪~⑭

ピアノ:佐藤美佳 ⑩~⑭

収録作品

①行進曲「清くあれ、爽やかなれ」

②~⑤ウィンド・バンドのための組曲「映像の記憶」

Ⅰ.マタンゴ、Ⅱ.黒い樹海、Ⅲ.遥かなる男、Ⅳ.鍵の鍵

⑥~⑨木管五重奏のための日本組曲第1番*

⑩フルートとピアノのための「プティ・パストラル」*

⑪~⑭アルト・サクソフォンとピアノのための「街の歌」*

* 世界初CD化



別宮貞雄は1922年5月生まれの85歳、現役最長老の作曲家の一人である。こどもの頃から歌うのが好きで、即興の鼻歌をよく口ずさんでいたそうで、東大で理論物理学を研究するかたわら、本来の勉学とは別に、池内友次郎について音楽理論を学んだ。1946年には毎日音楽コンクールで2位、次の年も2位、その次の年には今も盛んに演奏される歌曲集《淡彩抄》で1位をとり、本格的に作曲家として歩むことを決心。一足飛びにパリ国立音楽院へ留学してしまう(矢代秋雄、黛敏郎と同期)。フランスではダリウス・ミヨーとオリヴィエ・メシアンに師事し、自己の音楽を研鑽した。ミヨーを語るとき必ず別宮が引用するのが「音楽に古い新しいの別はない。よい音楽とわるい音楽があるだけだ。」というミヨーの言葉で、そのため別宮は手法の新旧に偏見を持つことなく、様々な音楽へ心を開いてきたと語っている。

主な作品としては、4つのオペラ《三人の女達の物語》《有馬皇子》《葵上》《井筒の女》、5つの交響曲、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの協奏曲、歌曲、合唱曲があげられるが、実は管楽器の作品にも傑作が埋もれている。

このCDの収録曲は別宮本来の歌心に溢れている。《清くあれ爽やかなれ》は爽快なメロディーが耳に心地よいが実は高度な作曲技術に支えられている。《映像の記憶》は映画、TV、ラジオのための100作にのぼる映像音楽から別宮自身が選んで演奏会用に仕上げたもの。別宮の上質なポピュラー性の結晶である。《木管五重奏曲》は別宮がフランス留学中にミヨーにレッスンを受けながら書いた作品。母国を思い、日本民謡を素材にしてフランスで学んだ高度な技法がふんだんに使われている。《プティ・パストラル》はカトリック信者でもある別宮の敬虔な祈りの音楽。教会旋法によるフルートの透明なサウンドが美しい。《街の歌》は本CD中の白眉と言えよう。別宮62歳の時の作品であるが、アルト・サックスとピアノの音色を最大限に引き出し、都会に生きる者の寂しさ、孤独、そして慰みを、粋に、洒脱に描いた、都会に暮らす者のオアシスのような極上の逸品。フランス仕込みの別宮ならではのお洒落な音楽である。